「東十二丁目誌」註解覚書 -近世東十二丁目村の基本データ-

「東十二丁目誌」の「第5章 近世」は120ページを占め、「第3章 古代」と「第4章 中世」の合計61ページに比べて多くのページが割かれています。
それでは、これで近世の東十二丁目村の様子が概ね分かるかと言えば、そう簡単ではありません。
例えば「人口」一つを取ってみても、本誌に直接の言及はありません。(注1) [全文を読む]

「東十二丁目誌」註解覚書 -近世概観-

昨年の年頭に「『東十二丁目誌』註解」を纏めてみようと思い立ち、これまでに「第1章 東十二丁目の地名」、「第2章 原始時代」、「第3章 古代」と「第4章 中世」を見てきました。
今年は昨年分の纏めを続けながら、「第5章 近世」と「第6章 むらの民俗」に進むつもりです。

第5章の構成は次のようになっています。 [全文を読む]

異説「日高見国」拾い読み

(佐治芳彦(注7)著「『東日流(つがる)外三郡(そとさんぐん)誌』の原風景」(1987 新人物往来社)より)

日高見国の登場

「東夷の中、日高見国あり、其の国人、男女並に椎結(かみをあげ)、身を文(もとろ)げて、人となり勇悍(いさみたけ)し。是をすべて蝦夷と日(い)う。亦(また)土地(くに)沃壌(こ)えて曠(ひろ)し。撃ちて取るべし」
(『日本書紀』景行天皇二十七年二月紀武内宿禰奏言)

これが、いわゆる正史に日高見国(注1)の名が出てくる最初のケースである。 [全文を読む]

「島郷土史」の目指したもの

「島郷土史」(昭和16年編纂)は「東十二丁目誌」などでしばしば引用される文献ですが、これまで直接手に取ったことがありませんでした。1年以上かかってしまった「石崎文庫」の整理が一段落したので、当文庫所蔵の「歓喜寺文書」の中にある「島郷土史」を読んでみると…
まず思ったのは意外にページ数が少ないこと。それに毛筆の手書きなのです。そして表紙が付いていない。元々なかったのか、コピーするときに抜けたのかはわかりません。毛筆書きの「島郷土史」の前に、ガリ版刷りと思われる「過去帳保存庫並に郷土史編纂に就て」と題した文書が置かれています。
しかしこのプロジェクトの実施主体がはっきりしません。島区民会とか歓喜寺護持会のような団体だったのか、個人有志に依るものだったのか。 [全文を読む]

照井党 -アテルイの時代-

(千城 央著「ゆりかごのヤマト王朝 一 照井党の巻」(2009.1.30 本の森発行)より)

主な登場人物
水沢照井党 建麻呂 (阿弖流為、アテルイ)
池月照井党 只牟呂
盛党 多賀嶋 (母礼、モレ)
安倍 乙志呂
坂上 苅田麻呂、田村麻呂
桓武天皇

三十八年の役勃発
呰麻呂の乱 (略)
北上川の戦い
軍神の出陣
三十八年の役終焉

  • 774年  海道の蝦夷が反乱し桃生城を侵す(三十八年戦争開始)
  • 776年  陸奥の軍3000人をもって胆沢の賊を討つ(胆沢の初見)

□  三十八年の役勃発
奥羽のみならず、信濃・駿河以東の東国では、重税と度重なる災害にあえいでいた。…
770(宝亀元)年10月、坂上田村麻呂の父である苅田麻呂が陸奥守鎮守将軍として赴任した。
苅田麻呂は、私利私欲に走らない篤実家(とくじつか)、平和共存路線を推し進めている。このため、奥羽の民は安堵し一揆は急減した。
ところが、…讒言(ざんげん)する者があり、翌年4月には都に戻して交代させてしまうのである。…

774年8月、磐城行方(なめかた)郡の周辺の百姓が前年の冷害のため飢えにあえぎ、食糧を得るため郡の食糧倉庫を襲って火をかけ、焼いてしまう事件が起きている。
これを受けて、都では陸奥出羽按察使・陸奥守・鎮守将軍の大伴駿河麻呂にエミシ征討命令を下し、奥羽三十八年の役の幕が切って落とされた。 [全文を読む]

照井党 -アテルイの前代-

(千城 央著「ゆりかごのヤマト王朝 一 照井党の巻」(2009.1.30 本の森)(注1)より)

主な登場人物
池月照井党 道岳、奈穂岳、諸岳
水沢照井党 建俊、建伴、建麻呂(アテルイ)
盛党 継嶋、多賀嶋(モレ)

  • 658年  越国守・阿倍比羅夫(注2)の北征(~660)
  • 672年  壬申の乱
  • 710年  平城京に遷都(奈良時代の始まり)
  • 712年  出羽国を建てる
  • 720年  蝦夷が反乱を起こし、陸奥按察使を殺害.征討軍を派遣
  • 722年  諸国から1000人の柵戸を陸奥に移民する
  • 724年  海道の蝦夷が反乱し陸奥大掾を殺害.陸奥国に多賀城を設置
  • 727年  渤海使、初めて来日(出羽柵)

□  エミシの出自
…735(天平7)年4月、江合川の上流にあたる陸前玉造の荒雄(あらお)川は雪解けで水位を増していたが、淵と瀬の境の辺は、遡上するニジマスやハヤの絶好の通過場所で、ここに目を付けていた少年五人がやって来て、釣り竿に針を掛ける準備を始めた。… [全文を読む]