5.12 検見の実際

本誌「第5章 近世」/「第15節 村の検地と租税」の「検見と修正」に、《…其年々の気候状況や洪水、病虫害等で被害のあった場合、…作柄を検することが行われ、歩付の修正が行われるが、これを検見といった。》と記し、東十二丁目に残る天保4年(1833)の凶作書留(注1)から検見の実際を紹介している。それを要約すれば…

○御検見のこと
・天保4年(1833)9月16日に高木通の検見のため役人3名が田瀬村に向かう旨言い渡された。
・9月17日より田瀬村で始まり、10月19日に高木村で終る。所要日数32日。
・当村へは10月14日に更木村から入り、17日に高木村に移る。
・利左ェ門作 14石余 45%、  与左ェ門作 26石余 42%
・畑歩 9%減(内4%は前年分)
・御蔵入分 26.2%減
・新田分 16.3%減、但し当年作柄皆無が多い
・御判帳紙代、御賄(食事)代、草鞋代等の費用を村々で負担する。(但し御宿諸入用は代官所負担)

○御検見入用覚
・食事代   31貫200文 (34日、6人、624食、50文/食)
・草鞋代    5貫250文 (35日分、24文/人日)
・御判帳紙代 15貫893文
 合計    52貫345文(ママ) (内3貫565文 島村御検見分)
・その他           ( 2貫531文 高木村での追加入用の島村負担分)
・高木通御検見高 5,087石余

○高木村での追加入用
・高木通11ヶ村肝入衆1泊宿賃 8貫400文 (内3貫400文は当年凶作に付き値上り分)
・雨天に付御逗留       12貫600文 (5ヶ村 延べ6日、合計 84食、150文/食)
・御検見様に酒御振舞      1貫272文 (銘酒3升)
・御酒肴等           1貫700文
・町遣人夫謝礼          100文
 合計            24貫724文(ママ) (高木通各村で検見高による按分負担)

[補足]
(1) 凶作書留
:古川孫左ェ門家文書(多田(豊)家所蔵)所収

(2021.10記/22.1改)