(太田俊穂(注2)著「南部藩記 – 『内史畧』の世界」(1975.4.5 大和書房)より)
苦闘と崩壊の記録(ルポルタージュ)
『内史畧』は戦国の末期、北東北の一角に封土を与えられて成立した南部藩が、幕藩体制のなかの一つの単位として、いかに苦悶し、いかに生きつづけるための努力をしてきたか、そして、どのような過程をたどって崩壊へ向って進んでいったかを300年の記録によって実証したものである。舞台はあくまで南部藩であるが、この一つの藩に象徴される当時の苦悩は、すべての藩に共通するものであることは論をまたない。ただそれが、克明に記録されて今日までのこっているかどうかである。 続きを読む 「内史畧」と著者・横川良助