(千城 央著「ゆりかごのヤマト王朝 一 照井党の巻」(2009.1.30 本の森発行)より)
主な登場人物
水沢照井党 建麻呂 (阿弖流為、アテルイ)
池月照井党 只牟呂
盛党 多賀嶋 (母礼、モレ)
安倍 乙志呂
坂上 苅田麻呂、田村麻呂
桓武天皇
三十八年の役勃発
呰麻呂の乱 (略)
北上川の戦い
軍神の出陣
三十八年の役終焉
- 774年 海道の蝦夷が反乱し桃生城を侵す(三十八年戦争開始)
- 776年 陸奥の軍3000人をもって胆沢の賊を討つ(胆沢の初見)
□ 三十八年の役勃発
奥羽のみならず、信濃・駿河以東の東国では、重税と度重なる災害にあえいでいた。…
770(宝亀元)年10月、坂上田村麻呂の父である苅田麻呂が陸奥守鎮守将軍として赴任した。
苅田麻呂は、私利私欲に走らない篤実家(とくじつか)、平和共存路線を推し進めている。このため、奥羽の民は安堵し一揆は急減した。
ところが、…讒言(ざんげん)する者があり、翌年4月には都に戻して交代させてしまうのである。…
774年8月、磐城行方(なめかた)郡の周辺の百姓が前年の冷害のため飢えにあえぎ、食糧を得るため郡の食糧倉庫を襲って火をかけ、焼いてしまう事件が起きている。
これを受けて、都では陸奥出羽按察使・陸奥守・鎮守将軍の大伴駿河麻呂にエミシ征討命令を下し、奥羽三十八年の役の幕が切って落とされた。 続きを読む 照井党 -アテルイの時代-